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    システム入れ替え前の「現行システム調査」は別料金と言われた…払うべき?判断する5つのポイントと質問例

    古い業務システムの入れ替えを相談したら、開発会社から「まず現行システムの調査が必要で、それは別料金になります」と言われた。見積もりに入っていると思っていたのに、なぜ別なのか。払うべきなのか。入れ替えを検討する担当者から、よく聞かれる悩みです。

    「入れ替え前の現行システム調査を、開発会社から別料金だと言われた。払うべきなのか分からない」

    先に結論をお伝えします。現行システム調査が別料金になること自体は、珍しくありません。ただし「払う・払わない」を一言で決めるのではなく、何を調べ、何が成果物として手元に残り、いくらの範囲で行うのかが書面で分かれば、払う価値を判断できます。逆に、中身が説明されないまま金額だけが示されたときは、遠慮なく内訳を聞いて構いません。

    なお、契約や費用の扱いは個別の事情で変わります。この記事は一般的な考え方の紹介です。個別の契約内容については、弁護士や専門家にご確認ください。

    目次

    なぜ現行システム調査は別料金になりやすいのか

    現行システム調査とは、いま動いているシステムが「何をしているか」「どんなデータを持っているか」「ほかのシステムとどうつながっているか」を調べて、整理する作業です。新しいシステムを作る前の準備にあたります。

    別料金になりやすい理由は、主に3つあります。

    • 見積もりの前に、作業量が読めない:仕様書が残っていないシステムは、画面や動きを実際に確認し、場合によってはソースコード(=プログラムの設計図にあたる文章)を読まないと全体像がつかめません。調べる前に、入れ替えの費用を正確には出せないのです。
    • 調べた結果が「入れ替え」以外にも使える:調査結果は、入れ替えをやめて改修で延命する、別の会社に依頼する、といった判断にも使えます。そのため、入れ替えの開発とは分けて契約するほうが公平だという考え方があります。
    • 作業が「やってみないと分からない」性質を持つ:調査は、決まったものを作る仕事とは違い、調べながら範囲が見えてくる仕事です。そのため、完成を約束する請負契約ではなく、作業の期間と時間に対して支払う準委任契約(=成果の完成ではなく、作業の遂行を約束する契約)で行われることが多くなります。

    開発の進め方を段階ごとに分け、段階ごとに契約を結ぶ考え方は、公的な資料でも示されています。

    📰 出典:IPA(情報処理推進機構)「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」

    IPAのこの資料は、ユーザ企業(発注者)とITベンダ(開発会社)の取引を分かりやすくするため、開発の各段階での責務の解説と契約書のひな型を提供するものです(2026年11月時点で確認)。調査や要件定義を本開発から切り分けて考えるときの参考になります。

    払う前に確認したい5つのポイント

    1. 何を調べるのか(調査の範囲)

    「現行システム調査」という言葉だけでは、中身が人によってまちまちです。次のうち、どこまでが含まれるのかを確認します。

    • 画面・機能の一覧づくり
    • データ(テーブル=データを入れる表のようなもの)の構造の整理
    • ほかのシステムやExcelとの連携の洗い出し
    • 業務担当者へのヒアリング
    • 動作環境(OS、サーバー、使っているライブラリ=既製の部品)の棚卸し

    2. 何が成果物として残るのか

    払った金額に対して、手元に何が残るかが最も重要です。調査報告書、機能一覧、データ構造図、移行時の注意点の一覧など、成果物の名前と形式を事前に決めます。「調べました」という口頭の報告だけでは、費用を払う意味が薄れてしまいます。

    3. いくらまでで、いつまでか(上限と期間)

    準委任契約の調査は、時間が延びるほど費用が増えやすい性質があります。作業時間や金額の上限と、期限を決めておきます。上限に近づいたら相談してもらう、という約束も有効です。

    4. 調査結果は誰のものか、他社に渡せるか

    調査報告書を別の開発会社に見せられるかどうかは、契約によって変わります。調査を依頼した会社に入れ替え開発も頼む前提なのか、結果だけ受け取って他社に相見積もりを取れるのか、調査の前に確認しましょう。

    5. 本開発の見積もりにどうつながるか

    調査のあとに出る本開発の見積もりで、調査費が差し引かれるのか、そのまま上乗せされるのかも確認します。また、調査結果を見たうえで「今回は入れ替えを見送る」という選択ができることも、念のため確かめておくと安心です。

    やりがちな失敗

    • 「見積もりに含まれているはず」と思い込む:入れ替えの見積もりに調査が入っているかは、書面で確かめないと分かりません。
    • 範囲を決めずに「とりあえず調べてください」と頼む:作業が広がり、費用も期間もふくらみます。
    • 口頭の説明だけで払ってしまう:成果物が決まっていないと、後から「何に払ったのか」を説明できません。
    • 自社でできる整理を丸ごと任せる:使っている人にしか分からない業務の流れや、困っている点は、社内で先に書き出しておくと調査の時間が短くなります。

    自社でできる事前の整理については、次の記事で解説しています。

    発注者がやること チェックリスト

    • ☐ 調査の範囲(画面・データ・連携・環境・ヒアリング)を文書でもらう
    • ☐ 成果物の名前と形式(報告書、機能一覧など)を決める
    • ☐ 作業時間または金額の上限と、期限を決める
    • ☐ 調査結果を他社に渡せるか、契約上の扱いを確認する
    • ☐ 本開発の見積もりで調査費がどう扱われるかを確認する
    • ☐ 調査の結果、入れ替えを見送る選択ができることを確認する
    • ☐ 社内で先に、業務の流れと困りごとを書き出しておく

    開発会社への質問例

    そのまま打ち合わせで使える一文です。

    1. 「現行システム調査では、何をどこまで調べるのか、範囲を一覧にしていただけますか」
    2. 「調査が終わった時点で、どんな資料が手元に残りますか。サンプルはありますか」
    3. 「調査の費用に上限を設けたいのですが、時間が足りなくなりそうなときはどう相談できますか」
    4. 「調査報告書を、ほかの開発会社に見せて見積もりを取ることはできますか」
    5. 「調査のあとに本開発をお願いした場合、調査費は見積もりに反映されますか」

    「調査は、入れ替えの費用や進め方を正確に決めるための準備です。範囲と成果物を先に決めておけば、お互いに安心して進められます」

    まとめ

    現行システム調査が別料金になるのは、見積もりの前に作業量が読めないことや、調査結果が入れ替え以外にも使えることが理由で、不自然な話ではありません。大切なのは、払うかどうかを感覚で決めず、範囲・成果物・上限と期間・結果の扱い・本開発とのつながりの5点を書面で確認することです。説明が十分に得られない場合は、そのまま進めず、内容を聞き直してから判断しましょう。

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