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    MCPサーバーやスキルは自社で作れる?AIツールの「機能拡張」6種類の全体像と外注するときの頼み方

    Claude Code や GitHub Copilot、Kiro といったAIツールを調べていると、「MCP」「スキル」「フック」「プラグイン」など、機能拡張の用語が次々に出てきます。社内の業務に合わせてAIを便利にしたいけれど、どれを自社で作れて、どれを外注すべきなのか。外注するなら費用はどう決まるのか。そんな疑問を持つ発注者の方は多いはずです。

    「MCPサーバーやスキルは自社で作れるのか。外注するといくらかかるのか、見当がつかない…」

    先に結論をお伝えします。機能拡張は大きく6種類あり、そのうち「ルール」と「スキル」は、Markdown(=見出しや箇条書きで書く、ただの文章ファイル)なので、非エンジニアでも自社で作れます。一方で、社内システムにつなぐMCPサーバーは、認証・権限・データの扱いを設計する必要があるため、エンジニアに任せるのが基本です。外注費は主に「つなぐシステムの数」「読むだけか書き込むか」「認証と権限」「扱うデータの重要度」「保守の範囲」によって変わります。

    この記事では、AIツールの機能拡張の全体像を業務の例で説明し、自社で作れる範囲、外注するときの頼み方、チェックリストと開発会社への質問例をまとめます。製品の機能・対応状況は執筆時点(2026年9月)の公式ドキュメントに基づいています。

    目次

    MCP・スキルなどAIツールの機能拡張は6種類:自社で作れるものと外注すべきもの

    まず全体像です。名前はツールごとに少しずつ違いますが、役割で分けると次の6種類になります。

    • ルール(カスタム指示):毎回必ず守ってほしい決まりごと
    • スキル:必要なときだけ読み込む「手順書」
    • MCP:外部のシステムやサービスとつなぐ「接続口」
    • フック:決まったタイミングで必ず実行される自動処理
    • サブエージェント:別の担当者に仕事を任せて、結果の要点だけ受け取る仕組み
    • プラグイン:上の5つを1つに束ねて配布する仕組み

    Claude Code の公式ドキュメントでも、これらの拡張機能を「いつ・何のために使うか」で整理しています。

    📰 出典:Claude Code Docs「Extend Claude Code」

    同ページでは、ルールファイル(CLAUDE.md)は毎回の会話で読み込まれる情報、スキルは必要なときに読み込まれる知識や手順、MCPは外部サービスとの接続、フックは特定のイベントで必ず実行される処理、プラグインはそれらを束ねて配布する単位、と説明されています。また、同じ設定を最初から全部そろえる必要はなく、「同じ間違いが2回起きたらルールに書く」「同じ手順を何度も貼り付けているならスキルにする」のように、困りごとが出てきた順に足していく進め方が紹介されています。

    6種類の機能拡張を業務の例で理解する

    ルール:毎回守ってほしい決まりごと

    AIに毎回伝えたい前提を、ファイルに書いておく仕組みです。Claude Code では CLAUDE.md、GitHub Copilot では copilot-instructions.md、Kiro では「ステアリング(steering)」と呼ばれます。

    • 業務の例:「社名は正式名称で書く」「金額は税込で表示する」「本番環境のデータは変更しない」

    注意したいのは、ルールはAIへの「お願い」であって、必ず守られる保証ではないという点です。Claude Code の公式ドキュメントでも、ルールファイルやスキルに書いた禁止事項はお願いであり、確実に止めたい場合はフックを使うよう案内されています。

    スキル:必要なときだけ読み込む手順書

    スキルは、特定の作業の手順や社内のノウハウをまとめたフォルダです。中心になるのは SKILL.md というMarkdownファイルで、名前・説明・手順を書きます。AIはふだん「名前と説明」だけを把握しておき、作業内容が説明と合ったときに中身を読み込みます。

    📰 出典:Agent Skills「Overview」

    • 業務の例:「見積書を作るときの手順と注意点」「問い合わせへの回答の型」「議事録のまとめ方」

    必要なときだけ読み込まれるので、ルールファイルに全部書くより、AIが本来の作業に集中しやすくなります。作り方は「業務手順をAIに覚えさせるには?Agent Skillの作り方入門」で詳しく解説しています。

    MCP:外部のシステムとつなぐ接続口

    MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリと外部のシステムをつなぐための共通の決まりごと(プロトコル)です。公式サイトでは「AIアプリのためのUSB-Cポートのようなもの」と説明されています。

    📰 出典:Model Context Protocol「What is the Model Context Protocol (MCP)?」

    MCPの「サーバー」は、あるシステムをAIから使えるようにする接続プログラムのことです。チャットツールや文書管理サービスなど、提供元が公開しているMCPサーバーを設定して使う方法と、自社システム用に新しく作る方法があります。

    • 業務の例:「販売管理システムの在庫数をAIが参照する」「AIがまとめた内容を社内チャットに投稿する」

    フック:決まったタイミングで必ず動く自動処理

    「ファイルを編集した後」「ツールを使う前」「作業の開始時」など、決まったタイミングで必ず実行される処理です。AIの判断に任せず確実に動くので、守らせたいルールの「最後の砦」になります。

    • 業務の例:「AIがファイルを編集したら、必ずチェックツールを実行する」「重要な設定ファイルの変更をブロックする」「作業ログを記録する」

    サブエージェント:別の担当者に任せて要点だけ受け取る

    AIの中に「調査担当」「レビュー担当」のような別の担当者をつくり、独立した作業スペースで仕事をさせる仕組みです。大量の資料を読む作業を任せても、本体には要点だけが返ってくるので、会話が散らかりません。

    • 業務の例:「過去の仕様書をまとめて読み、変更点だけを報告させる」

    プラグイン:まとめて配布する仕組み

    📰 出典:Kiro Blog「Introducing Kiro powers」

    スキル・MCPの設定・フックなどを1つのパッケージにまとめ、別のプロジェクトや他のメンバーに配る仕組みです。Claude Code では「プラグイン」、GitHub Copilot では「Agent Plugins」、Kiro では「Powers」と呼ばれます。

    • 業務の例:「経理部門向けのスキルと接続設定を、部署全員に同じ状態で配る」

    主要AIツールの対応状況(執筆時点:2026年9月)

    3つのツールで、6種類の機能拡張がどう呼ばれ、どこまで対応しているかをまとめました。

    📰 出典:GitHub Docs「Copilot customization cheat sheet」

    📰 出典:Kiro Docs「Steering」

    機能拡張Claude CodeGitHub CopilotKiro自社で作る難しさの目安
    ルールCLAUDE.md(AGENTS.mdも読める)copilot-instructions.md、AGENTS.md などステアリング(AGENTS.mdにも対応)低い(文章を書くだけ)
    スキル対応対応対応低い〜中(手順の整理が要)
    MCP対応対応対応既存の利用は中、自社用の開発は高い
    フック対応対応(CLI・GitHub.com。VS Codeはプレビュー)対応中〜高(スクリプトが要)
    サブエージェント対応対応(VS Code・CLIなど)対応中
    束ねて配布プラグインAgent PluginsPowers中

    ※ 対応状況は使う画面(エディタ・CLI・Web版など)によって異なります。機能の追加・変更が非常に速いため、導入前に各公式ドキュメントで最新情報を確認してください。

    機能拡張は「ツール共通の標準」になりつつある

    発注者として押さえておきたいのは、これらの仕組みが特定のツール専用ではなく、複数のツールで共通に使える標準へと進んでいることです。

    📰 出典:Anthropic「Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation」

    2025年12月、Anthropic は MCP を Linux Foundation 傘下の Agentic AI Foundation(AAIF)に寄贈し、OpenAI の AGENTS.md などとともに創設プロジェクトとなりました。特定の企業ではなく中立の団体で運営される形になっています。

    📰 出典:Agent Skills「Overview」

    スキルについても、Agent Skills の公式サイトでは、Anthropic が開発した形式をオープン標準として公開し、多くのAI製品が採用していると説明されています。採用ツールとして Claude Code、GitHub Copilot、Kiro、Cursor、OpenAI の Codex などが掲載されています。GitHub Copilot は、Claude Code 用に .claude/skills フォルダに置いたスキルも自動で読み込むと発表しています。

    📰 出典:GitHub Changelog「GitHub Copilot now supports Agent Skills」

    配布の仕組みでも、2026年8月に GitHub が「Agent Plugins 1.0」を発表しました。スキルとMCPサーバーを1つにまとめるオープン標準で、特定のベンダーから独立して運営され、AWS・Microsoft・OpenAI・Google などが中心的なメンテナーに名を連ねています。

    📰 出典:GitHub Changelog「Agent Plugins 1.0 in VS Code, Copilot CLI, and the Copilot app」

    ここから言えるのは、一度作ったスキルやMCPサーバーは、将来ツールを乗り換えても活かせる可能性が高まっているということです。ただし、各ツールが独自に拡張している部分もあり、完全にそのまま動くとは限りません。「どのツールで動作確認したか」を成果物ごとに記録しておくと安心です。

    自社で作れる範囲とエンジニアに任せる範囲

    非エンジニアでも作れるもの

    • ルールファイル:社内の決まりごとを箇条書きにするだけです。まずは「AIが2回同じ間違いをしたら1行足す」くらいから始められます
    • スキル:業務マニュアルを書ける方なら作れます。難しいのは書式ではなく、「どんなときに使うか」の説明と、手順を抜け漏れなく整理することです
    • 公開されているMCPサーバーの利用:設定自体は短時間で済むことが多いですが、どのデータにアクセスさせるかの判断が必要です。情シス担当者や開発会社に一度確認してもらうと安全です

    エンジニアに任せたいもの

    • 社内システムにつなぐMCPサーバーの開発:ログインの仕組み(認証)、誰にどこまで操作させるか(権限)、記録の残し方などの設計が必要です
    • フック:コマンドやスクリプトを書くため、エンジニアの領域です。危険な操作をブロックする用途では、設定ミスがそのまま事故につながります
    • スクリプトを含むスキル:スキルにはプログラムを同梱できます。この場合は中身の確認が必要です

    📰 出典:Claude「Introducing Agent Skills」

    安全面では、各社の公式情報がそろって「信頼できる提供元のものだけを使う」よう注意を促しています。Anthropic はスキルについて、コードを実行できる機能であるため信頼できる提供元のものを使うよう案内しており、Claude Code のドキュメントも、接続する前に各MCPサーバーを信頼できるか確認するよう求め、外部の情報を取り込むサーバーではプロンプトインジェクション(=外部の文章に紛れ込ませた指示でAIを操ろうとする攻撃)のリスクがあると説明しています。

    📰 出典:Claude Code Docs「Connect Claude Code to tools via MCP」

    MCPの安全性については「MCPで社内データとAIをつなぐのは安全?」で詳しく解説しています。

    MCPサーバーやスキルを外注するときの頼み方と費用の決まり方

    外注費の相場は、つなぐシステムや求める品質によって大きく変わるため、一律の金額はお示しできません。その代わり、見積もりを左右する要素を知っておくと、見積もりの比較や予算の相談がしやすくなります。

    費用を左右する5つの要素

    要素費用が上がりやすいケース
    つなぐシステムの数と種類複数システムにつなぐ、公開APIがない古いシステムにつなぐ
    操作の範囲参照だけでなく、登録・更新・削除までAIにさせる
    認証と権限社員ごとに見られるデータを変える、社外から接続する
    データの重要度個人情報・取引情報を扱う、操作ログの保管が必要
    保守の範囲接続先システムの改修やAIツールの更新に合わせた修正を含める

    特に「操作の範囲」は大きな分かれ目です。在庫を「見るだけ」のMCPサーバーと、受注を「登録できる」MCPサーバーでは、誤操作を防ぐ仕組みや確認画面の設計が変わり、テストの量も増えます。

    外注を頼む3ステップ

    1. 最初は「読むだけ」に絞る:まず参照だけで試し、効果が見えてから書き込みに広げると、費用とリスクを抑えられます
    2. 業務の手順は自社で書く:スキルの中身(手順・判断基準)は業務を知る自社が書き、開発会社には接続部分と安全対策を依頼すると、役割分担が明確になります
    3. 納品物と保守を決める:ソースコード、設定手順書、権限の一覧、動作確認したツールとバージョン、更新時の対応範囲を納品物・契約に含めます

    やりがちな失敗

    • ルールに書いたから安心する:ルールはお願いです。確実に止めたい操作は、フックや権限設定で止める設計にしましょう
    • 便利そうなMCPサーバーやスキルを誰でも入れられる状態にする:提供元の確認や、社内で使ってよいものの一覧を決めておきましょう
    • いきなり書き込みまで任せる:最初から受注登録や顧客情報の更新をAIにさせると、テストと対策の費用が一気に膨らみます
    • 作った人しか中身を分からない:スキルやルールは社内の業務知識そのものです。置き場所と管理担当を決めておきましょう

    発注者がやることチェックリスト

    • ☐ AIに任せたい業務を「参照するだけ」と「登録・更新する」に分けた
    • ☐ 社内ルールとして毎回守らせたいことを箇条書きにした
    • ☐ 繰り返し説明している業務手順を1つ選び、スキルの候補にした
    • ☐ 接続したい社内システムと、そこで扱うデータの重要度を整理した
    • ☐ 使ってよいMCPサーバー・スキルの提供元と、承認する担当者を決めた
    • ☐ 外注する場合の納品物(ソースコード・手順書・権限一覧)と保守範囲を決めた
    • ☐ 導入するAIツールの対応状況を公式ドキュメントで確認した

    開発会社への質問例

    • 「このMCPサーバーは参照だけの場合と、登録・更新まで行う場合で、費用と期間はどのくらい変わりますか?」
    • 「AIからの操作に、社員ごとの権限の違いをどう反映させますか?操作の記録はどこに残りますか?」
    • 「スキルの手順は当社で書き、接続部分をお願いする分担は可能ですか?」
    • 「作ったものは、どのAIツールのどのバージョンで動作確認しますか?別のツールでも使えますか?」
    • 「接続先のシステムやAIツールが更新されたとき、修正はどこまで保守に含まれますか?」

    まとめ:スキルは自社で、社内システムとの接続はエンジニアと

    AIツールの機能拡張は、ルール・スキル・MCP・フック・サブエージェント・プラグインの6種類で整理できます。

    • ルールとスキルはMarkdownで書けるので、業務を知る自社で作るのが近道です
    • 社内システムにつなぐMCPサーバーやフックは、認証・権限・記録の設計が必要なので、エンジニアに任せるのが基本です
    • 外注費は「つなぐシステム」「操作の範囲」「認証と権限」「データの重要度」「保守範囲」で決まります
    • MCP・スキル・プラグインは複数ツール共通の標準に進んでおり、作ったものを活かしやすくなっています

    まずは、社内で繰り返し説明している業務手順を1つ選び、スキルとして書き出すところから始めてみてください。その過程で「どのシステムとつなげば、さらに楽になるか」が見えてくるはずです。

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      この記事を書いた人

      株式会社THIRD HERO代表取締役 朝野貴朗
      Webシステム開発を中心に、toC向けサービスサイトの運営、ツール開発などを行ってまいりました。

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